こちらの世界《せかい》のお話《はなし》

[#9字下げ]六、幽界の指導者[#「六、幽界の指導者」は中見出し] いよいよこれから、こちらの世界《せかい》のお話《はなし》になりますが、最初《さいしょ》はまだ半分《はんぶん》足《あし》を現世《げんせ》にかけているようなもので、矢張《やは》り娑婆《しゃば》臭《くさ》い、おきき苦《ぐる》しい事実《こと》ばかり申上《もうしあ》げることになりそうでございます。――ナニその方《ほう》が人間味《にんげんみ》があって却《かえ》って面白《おもしろ》いと仰《お》っしゃるか……。御冗談《ごじょうだん》でございましょう。話《はな》すものの身《み》になれば、こんな辛《つら》い、恥《はず》かしいことはないのです……。 これは後《あと》で神様《かみさま》からきかされた事《こと》でございますが、私《わたくし》は矢張《やは》り、自力《じりき》で自然《しぜん》に眼《め》を覚《さ》ましたというよりか、神《かみ》さまのお力《ちから》で眼《め》を覚《さ》まして戴《いただ》いたのだそうでございます。その神《かみ》さまというのは、大国主神様《おおくにぬしのかみさま》のお指図《さしず》を受《う》けて、新《あた》らしい帰幽者《きゆうしゃ》の世話《せわ》をして下《くだ》さる方《かた》なのでございます。これにつきては後《あと》で詳《くわ》しく申上《もうしあ》げますが、兎《と》に角《かく》新《あら》たに幽界《ゆうかい》に入《はい》ったもので、斯《こ》う言《い》った神《かみ》の神使《つかい》、西洋《せいよう》で申《もう》す天使《エンゼル》のお世話《せわ》に預《あず》からないものは一人《ひとり》もございませんので……。 幽界《ゆうかい》で眼《め》を覚《さ》ました瞬間《しゅんかん》の気分《きぶん》でございますか――それはうっとりと夢《ゆめ》でも見《み》ているような気持《きもち》、そのくせ、何《なに》やら心《こころ》の奥《おく》の方《ほう》で『自分《じぶん》の居《い》る世界《せかい》はモー異《ちが》っている……。』と言《い》った、微《かす》かな自覚《じかく》があるのです。

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