結末は想像を絶する

「ご名答。だが結末は想像を絶する。まぁ、聞きたまえ。朝八時少し前、僕は失業中の馬番という設定で、家を発った。馬を扱う男たちには、強い同業者意識がある。輪の中に入れば、知りたいことはなんでもわかる。すぐにブライオニ荘は見つかった。こぢんまりした住宅で、裏庭があるのだが、通りに玄関がほど近く、二階建てだった。扉はチャブ錠つき。右手に広い居間があって、豪華な調度品が並び、床につくほどの大きな窓もあった。窓には子どもでも開けられそうな、頼りないイギリス式の留め金がついていた。裏手にはこれといった所もなく、ただ廊下の窓が馬車小屋の屋根からなら届きそうだったくらいだ。屋敷の周囲を一周し、様々な観点からつぶさに調べてみたが、興味を引くものはもうなかった。 それから通りを徘徊してみると、期待通り、裏庭の壁沿いの小道に厩舎があった。馬番に馬磨きの手伝いをしてやると、駄賃に二ペンスくれてね、あと一杯のハーフ&ハーフ、シャグ煙草を二服、そして念願のアドラー嬢の情報をあれこれと。たいして知りたくもない近所の人たちの日常を半ダースも聞かされたが。」「で、アイリーン・アドラーとは何者かね?」と私。「なんと付近の男どもを皆、虜にしているらしい。天下この地上において、もっとも麗しき女性である。とまぁ、サーペンタイン厩舎の男どもは口を揃えている。生活は平穏で、コンサートで唄いもするが、毎日五時に馬車で出かけ、七時丁度に夕食に戻ってくる。それ以外に外出するのはまれだ。訪ねてくるのは男一人のくせして、回数がとても多い。肌は浅黒く、容姿端麗、爽やかな男ときていて、少なくとも日に一回、たまに二回のときもある。名はゴドフリィ・ノートン、イナ・テンプル法学院の男だ。御者に内緒事など、ね。サーペンタイン厩舎より十数回と送っているから、何もかも知っていた。ひとしきり話し終えてから、僕はブライオニ荘に引き返し、そばを歩きながら、これからの身の振り方を思案した。 ゴドフリィ・ノートンはこの件に深く関与していると見ていいだろう。弁護士だ。不吉な予感がする。二人の間柄は? 繰り返し訪れ何をもくろむ? アイリーンは依頼人か、友人か、はたまた恋人か。前者ならば、写真は男の元で保管させているだろう。後者なら、その見込みもない。考えによっては、ブライオニ荘で仕事を続行せねばならぬし、学院にあるかの紳士の事務所に目を向けなければならぬ。この微妙な点により、調査が広範囲にわたることとなった。くどい話で退屈してないか心配だが、状況を理解してもらわねばならんので、小さな問題でも知っておいてほしいのだ。」「傾聴しているよ。」と私。

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