我々の調査

「我々の調査は事実上、終了。明日、王同伴で訪ねる予定だ。君も来たくば来たまえ。居間で待つことになると思うが、彼女が現れたときには写真とともに消え失せるという寸法だ。陛下も手元に取り戻せると満足なさることだろう。」「いつ頃、訪ねるつもりだい?」「朝八時。彼女はまだ起きていないだろうから、自由に仕事が出来る。だが迅速に行動するに越したことはない。結婚で生活習慣が様変わりしているやもしれぬ。早速、王へ電報を打つとするか。」 我々はベイカー街にたどり着き、戸口で立ち止まった。ホームズが懐に鍵を探ったとき、誰かが通りがかり声を掛けられた。「おやすみなさい、シャーロック・ホームズさん。」[#挿絵9(fig226_09.png、横448×縦722)入る] そのとき歩道には幾人かいたが、挨拶したのはアルスターをまとった細身の青年らしく、急ぎ足で去っていった。「あの声、聞き覚えがあるが。」とホームズは街灯で薄く照らされた街並みに目を注ぐ。「はて、誰だったか。」

[#3字下げ]三[#「三」は中見出し]

 その晩、私はベイカー街に泊まった。翌日、我々が朝のトーストとコーヒーを摂っているとき、ボヘミア王が部屋へ駆け込んできた。「手に入れたとな!」と王はシャーロック・ホームズの両肩をつかみ、顔をぐっとのぞき込んだ。「まだです。」「だが、見込みはあるのだな。」「ございます。」「では、来たまえ。もう我慢ならん。」「辻馬車を呼びましょう。」

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