傍観者の言

傍観者の言岸田國士

 昔から、文芸上の論戦ほど、読んで面白く、考へると馬鹿々々しいものはない。 面白いのは、尤もらしいからである。しかし、両方とも尤もらしいのだから、喧嘩にもなにもならず、そのくせ大にやり合つてゐるつもりでゐるから、そこが馬鹿々々しいのである。殊に相手の云ふことに耳を傾けない―...

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それなら仕合せだ

 それなら仕合せだ、と彼は云うのである。ところが実際に於いては、往々、通りすぎることが取失うことになる。人は食べたものを悉く消化吸収するものではない。大部分をそのまま排出する。だから、素朴な議論を何度もくり返す必要が生じてくる。殊に、文学が生活からの逃避場でなくなり、生活意欲を多分に含む時代に於て、...

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広津和郎の「故国」

 と、ここまでくると、この論者、あらゆる精進を、すべて排斥するかに見える。しかしそうなってくると、例えば、広津和郎の「故国」など、最も立派なものと云わなければならないだろう。労を惜しんだ取扱い方、作意の沈潜の足りなさ、ディレッタンチズムの匂いのする筆致、それが、却って、あらゆるポーズから解放されたも...

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